発毛を促すガイド分子の特定

発毛を促すガイド分子の特定

発毛能力を含めた基本的な皮膚構造と機能を所有する、試験管内で3次元的につくられた細胞(オルガノイド)を使って、皮膚が小胞を発達させて髪の毛を生やす方法を調べた、南カリフォルニア大学主導の研究が、米国科学アカデミー(PNAS)議事録に発表されました。

細胞行動を分析するために、生後間もないマウスから解離させた皮膚細胞を低速度撮影した今回の研究では、解離細胞が、集合細胞、包嚢、合体包嚢、皮膚層という段階を経て、ホストマウスへの移植後に確実に髪を作る小胞に変化していくことが確認されました。

対照的に成体マウスから解離させた皮膚細胞は集合細胞までしか変化せず、髪を生成することができませんでした。

その原因を探るために、発毛に成功した新生細胞を分析したところ、タンパク質コラーゲン、血糖を調節するホルモンであるインスリン、細胞シート形成、細胞粘着力、細胞死、細胞分化といった多くのプロセスと関係する遺伝子の活動が増加したことが確認されました。

さらに特定遺伝子の活動を妨害し、どの遺伝子がどのタイミングで活動するのか、その発生過程を慎重に調べることで、個々の皮膚細胞を自己組織化させて発毛を可能にするガイド分子が発見されました。また、このガイド分子を成体マウスから解離させた細胞に適用することで、適切な順序で変化した生体オルガノイドの発毛率が新生オルガノイドの40%にまで高まり、最終的に髪の生成に成功することも示されています。

通常、細胞の再生能力は年齢とともに失われてしまうことから、薄毛に悩む高齢者が少なくありませんが、成体マウスの細胞を改善して再び発毛させることが可能なことを明らかにした今回の研究によって、画期的な脱毛症治療法への道が開かれたと言えるでしょう。